イエローナイフ、オーロラ 2014
あこがれのオーロラ

女房殿が航空会社の雑誌広告を見て「週末にフィンランドに行こう。オーロラを見に。」と言い出したのは数年前である。いつ訪れたら見られるか。女房殿は、果てにはフィンランドの天文学博士とEメールを交わすところまで行き着いていた。結局のところ、見られるときに見られるという予測不能なことがわかっただけであった。とはいうものの、以前から一度は見てみたいと思っていたオーロラ。行きたいね。見たいねと繰り返していた。

この夏、テレビを見ていた女房殿「オーロラって夏も見えるってよ。ちょっと、冬じゃなかったの。」調べてみると、冬をシーズンとしているのは旅行会社の都合が一番の理由と言うことが判明した。夏は、釣り、狩猟などの観光客が多いが冬は目玉がない。平準化するためらしい。今回、イエローナイフでのガイドも肯定していた。冬は冬でなければ味わえない樹氷などの冬景色、氷の上の漁、犬ぞりなどがあることも確かであるが、オーロラは冬でなくても見える。太陽の光がなければ昼間でもいつでも四六時中出ているのだが、白夜や雲の関係で見ることができる時間が限られる。詳しいことを説明するところではないので、説明はここまで。

ということで、7月の終わりに思い立ち9月の中旬に訪れられそうなことがわかり、9月20日の術後一周年を記念する旅行にすることにした。

目的地はどこにするか。悩んだ。前述のようにフィンランドが第一希望だったが、色々な要素を検討してカナダのイエローナイフに決めた。オーロラベルトの真下にある街で見える確率が非常に高い。旅行会社の宣伝では98%になっている。旅程は、四泊六日。キッチン付きのコンドに泊まり、4回のツアーに参加するという計画である。3回は自動車で見えるだろう場所に出かけ、1回はボートで湖上の島からチャレンジすることにした。現地で夜のツアー以外に一度は黄葉を楽しむハイキングを組み込めたら、それですべてと考えて出発した。


このページの背景は撮影したオーロラの写真。
また、20枚程福童屋GalleryにUPしている。よければご覧あれ。

火曜日 16日

午後の成田発。カルガリー経由でイエローナイフの到着が同日の夕方。到着したら、まずはスーパーに四泊分の食材を買い出しに。毎日レストランに行くのは億劫な我が家の選択。野菜、卵、パン、ハム類、冷凍食品、牛乳などをがっさり買い込んできて夕食を楽しむ。一段落して21:40にツアーに出発。まずは、当日の全ツアー参加者が、ツアー会社の持つキャビンに集められ、鑑賞場所への移動を待つ。待つといってもこのキャビンは街から10kmほど西の郊外に位置しオーロラ鑑賞の場所の一つでもある。天の川までくっきりと見える快晴の空を見上げること2時間。なかなか出ない。一度だけ北斗七星の柄のあたりにすーっと出現。消化不良。12;30頃に次の場所に移ることになった。行き先は街から北東に位置するPrelude Lake。オーロラ本体と、湖面に写るオーロラをみる場所とのこと。満天の星空の元、待つこと2時間。終了。

水曜日 17日
黄葉のイエローナイフ
水上ハウスが見える

朝方5時に就寝し、起きたのが13:00。昼食を食べ、21:40の出発までリラックス。色々な意味でコンドミニアムはくつろげる、我々のお気に入りである。

この日は、キャビンからProsperous Lakeへ。天気予報では徐々に雲がでて崩れるとなっていた。結果的には崩れはしなかったが、外れ。オーロラは全く顔を出さずじまい。その天気予報では、日曜日まで崩れることになっていたので、最後のチャンスだと思い出てくれることを願っていたので、がっかり。今回は空振り旅行と諦めの夜でもあった。

気温7℃程度の戸外で、2時間x2回=約4時間、ほぼ黙って立っていた。これも経験だろう。


さて、このイエローナイフは人口約2万人のノース・ウエスト準州の州都。金の採掘、ダイヤモンドの採掘と鉱業の町といえる。森と湖に囲まれた静かな街という印象。鉱山と湖上に作られる氷の道Ice Roadによって交通の増える冬場の方が賑やかなのだろう。湖とかわいらしい住宅の雰囲気は写真でみてもらえる。

木曜日 18日

ハイキング

起きると、雨がふりだしそうな曇り。この日の予定は、Cameron Fall周辺の散歩とボートでのオーロラ鑑賞。雨に向かうというという天気予報もあり、絶望的な気持ちで出発。するとどうしたことか、ハイキングに向かうに途中から青空が見え始め、晴れ渡ってしまった。嬉しい誤算以外の何物でもない。

Cameron Fallのハイキングは、今回の旅行で昼間の唯一の予定。車窓も含めて風景と黄葉を楽しむ計画だったのだが、晴れたので予定通りになった。この滝は落差19m程度だが平原がつづくこのあたりでは珍しい地形。数千キロの範囲以内で最も落差のある滝である。
ハイキングは、駐車場から滝まで片道20分程度。岩とカバ類の黄葉の中をゆっくりと歩く。ごつごつした岩山に薄く堆積した土の上に樹木が生えている。なにか不安定な植物相に見える。リスとも遭遇した。クマ、狐などの動物と遭遇することもあるらしい。
場所は、夜に通る道と同じ道の少し先に位置する。つまり何度も通る道なのだが景色を楽しめたのはこのときだけ。広い樹林が黄葉している様子、ビーバーの巣、岩盤の切り通しなど見飽きない光景だった。残念ながら車の窓ごしでは写真は撮れなかった。


そして夜のオーロラツアー。ボートに乗って湖面にでると、西の空の雲が明るくなっている。オーロラである。ガイドのJulian とゆうこが「今日は良いよ!」と口を揃える。進行方向正面の北にも。島に到着し上陸する頃には続けて出るようになり、少しすると滅茶苦茶活発に。ブレークではないようだが、月に一度見られるかどうかという程の出現らしい。超ラッキー。

オーロラは空の一部が明るくなるところから始まる。ガイドが「ほらオーロラですよ。見て下さい。」というときは、ぼんやりとしているだけである。最初の夜のこともあり、「こんなもんか。テレビなどで紹介されるのは特殊な場合なんだろう。」という思いがあった。しかし、違っていた。徐々に強く光りだすと、感動して結構あたふたしてしまった。写真を撮り始めてもセッティングがうまくできない・・・。観た者しかわからないと言われていることに納得。

「福童屋Gallery」に20枚程度の写真をUPした。プロではないので、芸術性というよりこんなオーロラが見えた!という報告である。

写真と肉眼でみるオーロラは大きく違う。長時間露光するカメラは赤い色もたくさん拾うが肉眼ではこんなに赤くは見えない。緑色の強い光が、降ってくる、踊っていると感じた。Galleryの写真の前半の赤や黄色の画像は、少し穏やかになった時に撮影したもの。後半の緑の光は、肉眼でみるオーロラにかなり近い。この緑は活発な時に撮影したものである。ダンスやピンクの幕はカメラに納められなかった。動画でとか、スピードを変えて・・・とか考えていたのは、机上の楽しみだけだった。でも、想定の範囲以内。というか、そんな状態のオーロラが見られれば文句はないと思っていた。

02:30に帰途についたが、ホテルに着くまでオーロラは揺らいでいた

女房殿共々大満足の一日だった。

金曜日 19日

アクティビティー最終日。曇時々雨の予報。リラックスした午後を過ごしオーロラツアーに。

オーロラは色々場所を移動しながらその日一番見えるところで鑑賞ということなので、基本的には雨天の予報でも催行。一か所で雨天でも別のところがそうでない場合もあるためだ。ただこの日は無理だろうとの予感で、最後の夜をクルーたちとの交流を楽しもうと決めていた。

ツアー会社の社長ベック氏(Grant Beck)は、かなりの有名人。犬ぞりレースの先駆者で、NHKをはじめ、日本のメディア露出度も高い人。またこのイエローナイフをオーロラ鑑賞ツアーでプロモーションするのに一役買っているらしい。近じか観光客誘致のプロモーションで日本に行くと言っていた。

その他にも、写真撮影のこつ、犬ぞりレースに勝つ秘密、TV番組撮影の裏話、スタッフスタッフ採用方法、生活環境、イエローナイフの産業、イヌイットのこと、在イエローナイフ日本人の状況などを話してくれた。みんなオーロラが、犬が、イエローナイフの暮らしが好きな人たちだった。

土曜日 20日
カルガリー
カナディアン・ロッキー

ホテル到着が03:00。空港へのピックアップが05:00。エドモントとカルガリーの2ストップという強行軍。翌21日の午後に成田に到着。カルガリーあたりで窓から見える市街とカナディアン・ロッキーの景色はかなり迫力があり、約30年前シカゴ赴任中に訪れたレイク・ルイーズとバンフのスキー旅行のことを思い出した。








今回は4度のトライ中1度だけ、しかも最高のオーロラに遭遇できた。これ以上何も言うことはない。


 
 
 
撮影のための備忘
最初の夜の「出たかな?」
ISO3200 シャッター60秒

初めてのオーロラ撮影をしたのだが、現場でで学んだこと

  1. 絞りを開放。開放の方法はボタン一つではないので覚えておく。
  2. 明るいオーロラが出ているときは、ISO800、シャッター速度10秒以内。8秒が多かった。
  3. そんなに明るくないときは、まず20秒や30秒で撮ってみる。
  4. 30秒でも暗いときは、ISO感度を上げてみる。
  5. 「あれっ。出てるかな」と思うくらいの弱い光の時は、ISO3200程度で、60秒くらいのシャッタースピード。このセッティングだと空が明るく星が鮮明に写る。
  6. レンズが曇る! 湖の湿気でレンズが結露。防護フィルターをつけていたことを幸い、途中から1~2枚撮る毎に拭き拭き。気温はそんなに低くないのに・・・ いろいろなトラブルが出るもんだ。
  7. 技術的なことは適当に押さえて、最も重要なのは構図。後で空だけ撮ったものを見ると、なんかオーロラという感じがしない。
  8. 暗い程度のペンライトを持って行ったけど明るい。やはり推奨通り赤くしていけばよかった。今回は撮影ツアーではないので、顰蹙はかっても文句は言われていないようだったが、ヘッドランプ付けて振り回したり、スマートフォンでの撮影で画面が超明るかったりと、結構邪魔している人が多かった。本人たちは気がついていないようだったが、反面教師としたい。