こげんこつば しましたばい  パーティとアニメ
いきさつ
作成したアニメの「20+」

所属会社では日本進出20周年を迎えた年、記念パーティを実施することになった。主賓、来賓のあいさつが続くパーティはやりたくないという役員会の意向を実現させようと企画した。

「普通の宴席にしたくないよね」という方針だった。 過去を振り返るだけのものにしたくない。未来への一つのマイルストーンと位置づけたい。 20周年を記念するのであれば、20年を単位期間として、設立年を「0年」、20周年のマイルストーンを「20+」、次のマイルストーンを「+20」として、ストーリィを考えよう! その時点と明らかに違う未来である「+20」を表現するためには、日本の誇るアニメを使おう・・・ということになった。

振り返ってみると、やっぱり「好き」だなと思う。

シノプシス設定
20年後の社長のシーン

「テレビをご覧の皆さま。首相なったら、自分でこれと決めたことを実行したいと思っていました。何かしたいです。何をやるか。作るか。一兆円かかっても未来のためになることだったら構いません。皆さん、日本に、人類に貢献すること教えて下さい。」という公約を掲げ、総選挙を経て就任したA総理(現在のA総理ではなく、別のA総理の想定でした)の呼びかけに応えて、わが社が応募したのが循環系環境ユニット・プロトタイプ建設計画という提案だった。この提案が採用され建設が始まる。そして、20年後の施設の竣工式の会場で、20年後の老けた社長が紹介するのが、リアルの今日の社長。そして彼が「20+」から「+20」への思いを語る・・・そんなシノプシスを書いてみた。

プロジェクト設定

超々高層ビル、海底都市、地底都市、宇宙エレベーター、月面都市、火星都市といったアイデアが出てきたが、20年後に完成しているという条件を満たすプロジェクトが見当たらない。しかし、これらの夢には共通する環境が必要であることに着目し、夢のの実現に向かうための基礎となる「閉鎖系環境実験ドーム」を仮想プロジェクトとして採用。米国のバイオスフィア2のもっと大規模なものを想定して、「100%閉鎖系環境」とはいかないけれど、200名が生活できる空間において、水と空気をできる限り循環させるための条件や施設概要など考えてみた。ここでは、チームでブレーンストームを行ったときに出たいくつかの項目をご紹介しておく。

  1. 実験に会社で実際に実施しているプロジェクトを絡められないか?大学なんかどうだろう。
  2. 施設を作ることも難しいが、社会を形成することも難しい→人間存続最小人数と言いわれている人数を収容? 参考:日本最小の孤立型村、東京都青ヶ島村→約200名 5.98平方キロ (行政学者 西尾先生の助言による)
  3. 必要森林面積は? 必要植物プランクトン面積?-一応調べるか。
  4. 交通システム:懸垂型モノレールのみを使用。ケージは、六人乗り乗用車程度の大きさ。乗用と運搬用の二種類を設定する。運転は、自動。呼び出し、行き先指示はケイタイからおこなう。道路は作らない。施設の周囲は、砂利敷きなどのペービングとする。
  5. 場所は、嘉手納基地跡地の利用で良いんじゃない?20平方キロあるので、青ヶ島村がすっぽり入る。
  6. 「こんなのはできっこない」と言わない。もともと想像の産物なのだから
アニメ作成

背景はアニメのシーンから。声優さんとの約束でで Flash Movie の形式で公開できないことを陳謝。本当は私の方が残念なのだが。

相談に乗ってくれたのが、当時行きつけだったバーのマスター。彼もアニメが嫌いでなく、かつ制作に関係している方を知っているとのこと。最初に紹介していただいたのが Flashエバァンジェリスト 太田さん。次は彼が、Flash Movieの先駆者たちを紹介してくれ、最終的に青池良輔さんにお願いすることになった。2014年現在「紙うさぎロペ」が人気。候補に「鷹の爪団」のFROGMANが上がっていたのも当時からライバルだったかのようで面白い。

青池さんは、脚本、監督、キャラクターデザイン、アニメーション作成をやってくれ、有限会社クリエイティブアーティスツPOEYAMA さん、有限会社スタジオMAO、 株式会社音響探検隊なども参加した。電音エンジニアリング株式会社 はアニメだけでなくパーティの会場での運営も手伝ってくれた。

声優のキャスティングの楽しみは青池さんには譲らなかった。だって・・・ 最終的に参加してくれたのは「ゆかな」。当時はコードギアスという人気のTVアニメの準主役「C2」を演じていた。プリキュアのキュアホワイトなど多数の作品に出演している。「たちこま」さんにしようか、「みさと」さんにしようか、「ラクス」にしようか などと、できもしないと思われることを言っていたことが、実現してしまい驚き。男声優は、目黒光祐さんと井上剛さん。目黒さんは、かのマクロスでカムジンという結構コアなキャラを演じていたベテランでこのアニメでも実力を発揮していただいた。井上さんはその後Tiger&Bannyのスカイハイなどを演じている。皆さん、シグマセブン所属。

凄いだろう! と、自画自賛。半年かかって、その間大いに楽しんだ。また、同じようなことをやれと言われたら・・・

イメージ戦略
20周年パーティ会場

統一感を出すためのイメージをデザインした。実際に招待状、ホテル会場での案内掲示、パーティのスクリーン、ゲストの名札、お土産につけた説明書などに使われた。手前味噌だが、デザインもさることながら、統一イメージを採用したことはアニメにもつながり、招待客もそれなりに楽しんでくれたように思う。

隠れたイメージはケイタイだった。顧客に携帯電話会社がいることもあるが、アニメではスマートデバイスとして身の回りから社会インフラまでのあらゆる機器の操作がこれ一つでできることにしている。

まだ、iPhoneが発売されていない時期の設定で、2014年現在の機能より進んでいたのはホッとしているが20年後までは保たないだろう。パーティの時には既に販売されていてスピーチの小道具としても使った。まだ、当時はパーティなどの最中に呼び出し音が鳴ると苦笑していたものであるが、この呼び出し音をあるエピソードを話し出すきっかけとしたのである。

20+logo
記念品
竹にふくら雀

記念品とラッピングもチームで考えた。記念品はアースアワーに使えるようにとキャンドルにし、風呂敷で包んでお渡しした。キャンドルはチームメンバーがろうそく屋さんと一緒に考えた。

風呂敷は、江戸小紋の伝統工芸士 岩下江美佳さんにお願いした。彼女の起用はデザインやコストもあったが、江戸時代からの技術を継承する江戸小紋の専門家として女性ではじめて江戸小紋伝統工芸士に認定され、男性ばかりの社会で努力されていることも一つの理由だった。現在も全国で個展を開くなど活躍されている。デザインは「竹にふくら雀」。ふくら雀は、冬に暖かい空気をため込んで寒さを防ぐ雀を表したもので、「福来」「福良」の語呂もあり、おめでたい文様とされているとのこと。

伝統に縛られない外資系だからこそできた選択かもしれない。

その後、見たい人にはことある毎に見せているが、当時の楽しさは伝えきれない。振り返ると、この作品は会社の行事の一環ではあったが、やはり自分で自分のために作った作品だろうと改めて思う。作らせてくれた会社に感謝。