ガラパゴス 2013 (Galápagos)

一面に赤色が広がる大地と不思議な形の樹木が醸し出す、今まで見たことがない風景の写真を見つけた。どこだ?調べて見たらガラパゴスだった。どうしても、この目で見てみたくなった。その夢が2013年の夏実現した。そこに足を踏み入れてみると、動物たちも風景に負けず劣らず我々の目を釘付けにした。

▶ 撮影した写真は「福童屋Gallery」にまとめているので見て欲しい。

ルート

ガラパゴスに行くためには、通常、アメリカ経由で飛ぶ。しかし、アメリカからエクアドルまでの便が取れない。アメリカ国内では場合によっては2回のトランジットをしなければならないということもあり、オランダ経由で行くことにした。成田を午前中に飛び立ち、同日夕方に、アムステルダムに到着。スキポールの近くで一泊。首都のキトでストップ・オーバーして商都グアヤキルへ。昨日に続いて11時間のフライトはやっぱきつかった。グアヤキルでは、ホテルへ直行。

ホテルでは、「むやみな外出は控えてください。空港などでもタクシーを拾わないでください。」なんていう物騒な注意書きがあったし、口頭で注意もされた。現地の雰囲気は本当にそんな感じでとても外出する気にならなかった。

なお、帰路は、グアヤキルから、アムステルダム。約3時間の乗り継ぎでそのまま成田へ飛んだので楽と言えば楽だった。

クルーズ船
クルーズ船エクリプス
ベッドメイク

ガラパゴス島を見るためには、生態系保護、宿泊施設の状況などの理由で、いくつかの島に宿泊するアイランド・ホッピングかクルーズ船を利用する方法が一般的。見たい所を含むコースをあらかじめ仮設定しておいて、日本の㈱アートツアーという旅行会社を経由して手配した。最終的には『エクリプス号』という中型船での『南側諸島クルーズ』-5泊6日を選択。このコースに決めた理由は、「赤いセスビュームを見ようとふと思い立って決めた旅」だったこと。このために、サウスプラザ島が入っていないと意味がないと思ったこと。実際には、赤いセスビュームはサンクリストバル島などでも見ることができたので、そこまでこだわる必要はなかったのかもしれない。

中型船なのでと旅行者のほぼ全員と知り合いになれて、しかも参加者の国籍が多様(ギリシャ、イスラエル、モナコ、アメリカ、メキシコetc)で、色々な話に花が咲いた。錦織圭と知り合いだということで、我われだったら知っていると思ったらしく話かけてきた青年君なんかもいた。今回は珍しく日本人が我々だけだったのは少し驚きだった。また、ガイドを含むスタッフも気さくで楽しく過ごせた要因だった。

驚いたことは、揺れること。普通に机の上にものを置いておいたら全部落ちるくらいの勢いで揺れた夜が2回ほどあった。それでも、ほどよく疲れていたので眠られないことはなく、次の朝食時の話題になった程度だった。この夏の時期、このくらいの揺れは普通らしい。

夏で赤道直下でありながら、寒い時が結構あり、長袖と、ウィンドブレーカーが必要だった。ウィンドブレーカーは、島によっては虫が集まる派手な赤やピンクは避けてくれと言われ、ショッキングピンクを持って行った我々としては少し困った。シュノーケリングは一度やったが、水が冷たくて二度はやらず。他の参加者は毎日のように潜ってたので、場所と暖かい日を選べばもう少し潜れたかもしれない。

食事は、普通。ビュフェ形式で好きなものが食べられた。ただしアルコールが有料で、ワインはあまり口に合わない。ということで、殆ど口にしなかった。気候の関係かビールより水の方が美味しかったのが事実。

さて、廻った島について、少しずつ感想を残しておこう。

ノースシーモア島

Isla North Seymour。飛行機が到着するバルトラ島から乗船したクルーズ船で最初に訪れる島。最初なので・・・と期待していなかったが、驚きの始まり。アシカ、グンカンドリ、アオアシカツオドリなどが、直ぐそばにいるではないか。グンカンドリの膨らす赤い頬袋。鳥をはじめとする動植物に目を奪われてしまった。

サウスプラザ島
サウスプラザ by Google

Isla South Plaza。(Isla South Surと記載されている所もある。)
サウスプラザ島は、お目当ての、この世のものと思えない光景が広がってるはずの島。到着すると曇天でまさしく、あの画像の場所である。溶岩性の地面にセスピウムが赤が広がり、ウチワサボテンがぽつぽつと。セスピウムが色づく時期だけの光景。満足。

暫くすると天候が変わり青空が広がった。するとどうだ、全く違う印象の光景になってしまったではないか。赤と青のこれまた異世界となった。

この島は、陸イグアナが多く生息する島でもある。もちろん他の島にもいるがここの奴らが一番強そうでもあった。Galleryの最初の画像は、ここでの撮影だった。その他、アシカ、幾種類もの鳥。彼らには楽園なのだろう。

サンタフェ島

Isla Santa Fe。サウスプラザ島を後にし、午後に訪れたのがここ。まずはシュノーケリング。海は綺麗だが珊瑚が群生しているわけではない。溶岩地形の造形を楽しみ、海洋生物を楽しむ感じ。ちなみに、今回は最初からダイビングは予定に入れていなかった。で、日が隠れていて寒い。シュノーケリングに対するテンション急降下で以降参加せず。

アシカのコロニーが有名な入り江から上陸し、巨大なハシラサボテンの脇を通り、少し優しい感じの風景を見る。入り江の両側の崖は海底が隆起したのかまだら模様が実に綺麗である。ガイドにあったガラパゴスノスリが降りているのを見ることができた。また、船に戻る時になると、入り江にサメが入り込み岸から数メーターの所まで接近。待機に。サメの三角ひれが直ぐ目の前にあり、みなジョーズだと言っていた。日本人だけじゃないのだな、これは。

サンクリストバル島
プンタピット

Isla San Cristobal、Bunta Pitt。早朝のウォーキングのオプションに参加した。入り江のビーチに上陸し、岩山を浸食する雨水の通り道沿いに確保されたトレイルを登っていく。100mは登っていないと思うが、少ししんどい。トレイル終点の崖の上には真っ赤なセスビウムと緑の名前は忘れた低木が織りなす鮮やかな光景が広がる。そこに、アカアシカツオドリ、アオアシカツオドリ、マスクカツオドリの三種がいるとのこと。アオアシカツオドリの巣が見えたが角度が悪く、とうとう赤い足のまともな写真が撮れなかった。この1時間ほどのウォーキングは参加する価値があった。

このプンタピットから次のセロブローホまでの航海中、鯨の群れに遭遇し、ジャンプする姿を見ることができた。少なくともハワイ、カウアイ島の時よりは近かった。

サンクリストバル島
セロブローホ

Cero Bruho。ダーウィンが最初に上陸したと言われる白砂のビーチでゆっくり。水たまりで遊ぶ鳥や、アシカがいるだけ。ビーチの奥にある池は亀の産卵場所とかで立ち入りが禁止されていた。ビーチの前方には、レオンドルミードと名付けられた岩山が海から突き出ている。方向によって確かにライオンのように見えないではない。

フロリーナ島
ポストオフィスベイ

Isla Floreana、Post Office Bay。今回一番のサプライズの場所だろう。船から郵便箱があるポストオフィスベイ浜への途中に立ち寄るラグーンでフラミンゴの一団と遭遇。至近距離からシャッターを切ることができた。また、飛ぶ姿も。ラッキー。 

ポストオフィスは、お約束の立ち寄り場所と言うことか。ま、郵便箱は確かに置いてある。

フロリーナ島
プンタコモラント
フロリーナ島 by Google

午後の早い時間は、近くの島の周りでパンガ・ライド。パンガとは、島への上陸などに使う小型ボート。このボートでの観察ミニツアーもある。今回は、他の人がシュノーケリングに行く間の代用ツアーと言うところか。絶滅が危ぶまれている鳥を探しに行ったのだが、発見できず。その代わりと言っては何だが、トロピックバードなどの撮影ができた。

Isla Floreana、Punta Cormorant。緑がかった色の砂浜に上陸し、そのままトレイルをウォーキング。浜から少し歩くと見えてくる湖はフラミンゴ遭遇率が最も高いと言われているとのことだが、2羽ほどが豆粒のように見えただけ。さっきのラグーンで充分。

湖を抜けて進んでいくと珊瑚の残骸で出来た白い砂浜にでる。夕方で太陽が傾いて砂浜自体は照らされないが、上空を飛ぶ鳥だけにスポットライトが当たったような感じになっていた。グンカンドリ、ペンギン、アオアシカツオドリが狩でダイブするところが間近に。なかなか見られないだろう。ランディングすた浜に戻るとまさに夕陽が沈むところで真っ赤な海を見ることができた。

イザベラ島
エリザベス湾

Isla Isabela、Elizabeth Bay。午前中はこの湾でのパンガ・ライド。湾の中は凪いでいて静かな水面。その水面をガラパゴスペンギンが泳ぎ、水面下にはエイ、ウミガメが泳いでいるのが見える。海流の影響で水が冷たいらしくて、他の島とは少し生物相が違うように思う。湾の外には水面にでた溶岩が点在する。その岩の上には、ガラパゴス・コモラントという鵜が群れをなしている。その鵜が取ってきて雛に与えようとする魚を横取りしようとするグンカンドリ。ペンギン。そんな鳥たちの楽園になっている。

イザベラ島
プンタモレノ

Isla Isabela、Punta Moreno。溶岩の岸辺に上陸し、観察用トレイルを歩く。水辺の低木地を抜けるとまさに荒涼とした溶岩の大地が広がる。この溶岩原の形成は古くないそうで、まだ殆ど植物が進出してきていない。最初が、ヨウガンサボテンで、そのうち色々なサボテン類が生え、次いで樹木が育っていくらしい。溶岩の上を暫く歩いて行くと、小さな池と周囲にささやかな緑が生育し始めた場所が点在してくる。このなかの二つの池に、一羽と二羽のフラミンゴがいた。ここのフラミンゴも人間を無視してくれた。

海岸に戻るとアオアシカツオドリに埋め尽くされた一角が見える。繁殖地らしい。ゆっくりと求愛ダンスを見せてもらった。ウミイグアナのてんこ盛りを見ることができたののもこの海岸。この5日間でみたウミイグアナはせいぜい数匹程度の群れだったが、ここでは重なり合っている。このページの背景はこのてんこ盛りを加工した画像だ。非常にガラパゴスらしい光景である。

じつは、この上陸中トイレに行きたくてたまらない状態だった。前日のポストオフィスベイでも似たようなことが起きていた。何か体調が良くないと自覚し、帰国したら直ぐに人間ドックを受検せねばと改めて心に記憶した日だった。ま、この続きは別のところで。

サンタクルス島
ハイランド

Isla Santa Cruz、Highland。最後の観察場所は、サンタクルス島のほぼ中央の標高600mくらいの低い山の上にあるゾウガメの生息地。ダーウィン研究所への訪問のよりも自然の中のゾウウミガメを見たかったからである。ゾウガメはこの山の中まで歩いてくるのだそうだ。気が遠くなりそうな距離がある。約束通りご対面のゾウガメは泥だらけであった。

以上、5泊6日のクルーズの概要である。書いてみれば短いが、書いたことでそれぞれの場面が思い出され懐かしい。将来、これを読むことで、また思い出すことができるだろう。

「夏場にガラパゴスへ」と思い立った方の参考になれば、なお嬉しい。冒頭にも記したが、撮影した写真は「福童屋Gallery」にまとめているので見て欲しい。