2017年9月21日、術後5年に突入。 今後の治療について担当医師と相談。
「術後2年のがん進行の危険が非常に高い時期を過ぎ、その後の2年間もずっとモニターしてきた。その間状況に変化が見られなかったね。こりゃあ抗がん剤続ける必要はないかもしれんな。」 「えっ 手術直後に『がん組織が転移していて残念です。余命を悔いなく過ごして下さい』って言われ、その気でいたのですが・・・」 「何年も先にどう変化するかなんてわからんからね。再発しないと言われて再発するよりいいでしょう。事実再発進行することの方が圧倒的に多いのは知っているでしょ。」
膵臓がんと診断された人の5年生存率は約8%という割と知られた数字がある。これでは経年変化がわからないが。別の統計でサバイバー5年相対生存率というのがある。診断時の5年生存率8%は、2年生き延びたら約40%に向上し、4年で70%を超える。5年になると80%でそれ以上の向上はない。 つまり4年生き延びたらその後5年生き延びる、診断からすれば9年を生き延びる確率が70%を超えるということになるのである。逆に表現すると、診断直後は5年以内に死亡する確率が92%だが、2年後の時点では60%に下がり、4年後では30%ということになる。 そういう統計上の数字は確かに知ってはいる。そして、そういった数字は個別の状態に直結するものではないことも理解している。自分としては、安定するか、進行するかの二択りつまり50%の確率だと思ってきた。
この状態を文章などに書くとしたら「治癒したと見える状態」といった表現だろうとのこと。「完治」や「治癒」とは書けない。がん(だけではないが)の場合、手術でがん組織を摘出し、抗がん剤治療をおこなった後、病状が安定して、臨床的に問題がない程度にまで治った状態でも、がん細胞の芽がどこかに残存し再発する可能性があるため、安易に完治や治癒の表現は使わないようだ。「寛解」という言葉があるが個体系のがんには使わないらしい。英語で調べて見るとRecoveryとRemission という単語があるが、何となくRemission(Weblio辞書 英和辞典・和英辞典:(痛み・病気などの一時的な)緩解,軽減,緩和,鎮静.)という言葉がしっくりくる気がする。
相談の結果、「治癒したと見える状態」で化学療法を継続する意義はあまりない。状況が変化すれば再開するだけのことだという意見に従い、実施中の第52クルーが終了した時点で中止することになった。「見える状態」という形容がつくものの「治癒」と言われるとは、全くもって想定外の誤算だったのである。
さてさて、今後どうしたものか。3ヶ月に一度のCT検査、6週間に1回の血液検査は残るものの月半分を占めていた低体調期と投薬スケジュールの枷から解き放たれる。生活が変わる、変えられるとの思いが湧いてきた。反面、根本的には変わりようがないという思いもあるが。 直ぐに答がでるようなものでもないだろう。状況を見ながら考えていきたい。大仰にいうと誤算に基づいた人生設計を設計変更するーまた、愉しからん也
「君のことだから90歳になっても元気だと思うよ。 きっと老後資金が足りないなんて言っているだろう。」 術後暫くして思いつくまま散財しているころ、友人から言われた。杞憂になることを願う。
この闘病記、ここで一旦終了する。
闘病は今後も続くのだが、メインのがん治療を停止したので、特にその経過を記す必要性がなくなったからだ。次からはアクティブに福童屋GALLERYや「旅」などの別ページに招待したいと思っている。
では、その時に