「治癒したと見える状態」と医師から宣言されてから1年、早いもので手術後5年が過ぎた。
昨年9月末に感染症で入院、抗がん剤はその入院を機に中止。正月にはインフルエンザに感染して3日ほど寝込んだ。この夏には、肺炎と帯状疱疹にかかり、抗生剤を服用した。しかし、がんに関しては3ヶ月に一度のCT検査と6週間に1回の血液検査を続けているが「治癒したと見える状態」は続いている。
旅行にはよく行った。数えてみたらこの1年間で60泊は旅の宿で過ごしていた。入院明け10月の南紀旅行については、すでに 福童屋Gallery 南紀・熊野 2017に掲載しているので、その後からの旅などについて記しておこうと思う。
最初の画像は栗林公園、高知県大月町での夕景、滑床渓谷の紅葉、厳島神社そして原爆記念公園。
写真はアイリーン・ドナン城(Eilean Donan Castle)、道路わきの風景、完成はしていなかった隈研吾氏設計のダンディー(Dundee)市の「ヴィクトリア&アルバート博物館別館(Victoria and Albert Museum、V&A)そして新市街から旧市街を望むエディンバラの様子。新市街は18世紀後半から建設されたとか。
ラウマ鉄道でオンダールスネス(Åndalsnes)まで行ってそこからスタバンゲル(Stavanger)までレンタカーで南下というルート。鉄道の道中で最も見どころであるはずの高さ1,000mの垂直な岩の壁トロールヴェッゲンのあたりでの岩崩のため通行不能でバスに代替というところから初日のスタート。 先行きが・・・とも懸念されたがその後は比較的スムーズだった。レンタカーでと書いたけれど幹線道路がフィヨルドにぶつかりフェリーに乗船というところもあり新しい経験だった。最初の写真は予約して乗ったガイランゲルフィヨルドのフェリーから。2枚目は予約なしの定期フェリー乗り場で20分後の便を待つところ。
晴れたり曇ったり雨になったりというのはスコットランドと同様だったが、晴れの時間が長かった。道路沿いの景色がよいところにはパーキングスポットが点在していてちょっと停めるのに便利。簡易トイレがあったりちょっとしたピクニックテーブルが置いてあったりと車での旅をベースに考えられている。そんなパーキングから撮った写真を3枚。鏡のようなフィヨルドの海面や湖水がいたるところで見られた。
雨はうっとうしいけど晴れとは違う趣の景色がみられる。ノルウェーでもそのはずだ。山間部を走る道の濡れそぼった羊のいる景色。走っている道路そのものも悪くない。右下はトロールの梯子トロールスティーゲンという有名な道路。
終盤のリーセフィヨルドを通った日は雨がかなり強く、同じフィヨルドでもガイランゲルフィヨルドとは違った幽玄な光景だった。イェラグボルテンやプレーケストーレンといった奇景はうっすらと見ることができた。
6月のヨーロッパ旅行で立ち寄った。一度は撮りたい風景がある場所。以前訪れた知人がみんな良かったといい、WEB上の画像も美しい。訪れると予想にたがわずの光景があった。
この公園にはザグレブまで飛んでレンタカーを借りたのだが、まずザグレブまでの飛行機で乗り継ぎができず到着が1日遅れ、かつ、バッゲージがロストするという災難に見舞われた。公園をまわっている最中に雹と土砂降りに会いずぶぬれになるというおまけまでついて、忘れられないところになった。その時履いていてぐじょぐじょになってしまった靴の臭いは、あの時の思い出とともに残っている。(笑 ザグレブを離れるときに空港でロストしていたバッゲージをピックアップできたという奇跡も付け加えておこう。
5枚目の写真は隣国スロベニアのブレット湖。アルプス山脈を背景にしたWEB上の写真に惹かれて足を延ばしてみた。島の教会が改装中であったり、湖面の状況が芳しくなかったりと期待どおりではなかった。
国内でいくつかのコンサートに行き、海外でも3つのロックフェスといくつかのコンサートに参戦した。
国内では、ASTERISMというバンドに興味を持ち始めた。郷里久留米と鳥栖出身の3人の若者が結成したインスツルメンツバンドでボーカルはまだいない。ハードなロックの響きが心地よいし、自ら作曲しているということにも驚かされる。東京で行われるライブは100名収容くらいの箱だし、福岡でも大きなライブはまだないらしいと、国内での認知度は高くない。国内と書いたのは、知る人ぞ知るブーティコリンズや元ガンズ・アンド・ローゼスのバケットヘッドがサポートする、YouTubeのコメント書き込みは外国語が多い など海外での知名度はかなり高いようだからである。まあ、国内外を問わず大きく羽ばたいてもらいたいものだ。そのほか5回ほどコンサートに行ったが、満足度が低いことが多いというのが正直なところ。
海外のフェスは、アメリカのROR(Rock On The Range)、ドイツのRIP(Rock Im Park)そしてイギリスのダウンロード(Download Festival)と3か所に行ってみた。以前も書いた通りハマっているベビーメタルのコンサートと絡ませての旅程でまわったのである。いずれもメタル、ハードロックのフェスなのでなかなか賑やかだしうるさい。あたりまえか。最も大きかったのはイギリスで、行った日のトリはガンズ・アンド・ローゼスで、その時間には約8万人の観客がいたと報道されている。観客はガンズがやる曲を大合唱し大盛り上がりだった。ベビメタはセカンドステージのセカンドヘッドライナー(トリの一つ前)だったが、このステージで最大の観客を集めたと言われていておそらく3~5万人がステージを見たと思う。そんな観客の中の一人だったのだけど、開催国の人、他国の人それに日本から来た人もいて、幕間には楽しく話すことができたし、カメラマンにはセッティングを指導してもらうことができたしと人とのつながりがある。単に観光地を回るだけの旅行とは違った楽しみ方ができる。
画像は、ダウンロード・フェスのガンズ・アンド・ローゼスとベビーメタル。
ベビーメタルのステージの様子がバンド公式のYouTubeで公開されている。ご興味をお持ちの方はこちら(音にはご注意を)
ここにいたのかと思うと感慨ひとしおだ。
大学の教養学部の頃、図学という講義があったのだが、最初に図面のトレースをさせられたのがル・コルビジェのサヴォア邸の図面 脳内にしっかり刻まれている。この6月訪れてみた。パリの郊外にあるのでいつでも行けたのかもしれないが初めて。保存状態があまり良くないなあ、訪問客が少ないなあなどと感じたが、実は思っていたより迫力が感じられなかった。この建物の後、同種のものが建てられそういう住宅を見てきたかもしれない。が、定かではない。写真は2枚目
5月に訪れたのはフランク・ロイド・ライトの落水荘。カンチレバーをつかったとか、暖炉が工夫されているとか、窓が閉まるように机を扇型に切り落としたとか細かなデザインのディーテールもあるが、森の中の川の上に建てたという自然に溶け込むデザインということを改めて感じさせられた。1枚目の画像は定番スポットからの撮影。ここしかないというスポット。
自分の中での世界で最も素晴らしい近代住宅はこれらの2邸にミース・ファン・デン・ローエ設計のファーンズワース邸を加えた3邸。ミースのの別荘へはシカゴ近郊にあり2012年と2016年に訪れた。3枚目の写真は2016年のもの。3邸を訪れてみた結果ファーンズワース邸が一番好きだった。
以前訪れたところを再訪したところもある。前回雨で外観がよく見えなかったドイツのノイシュバインスタイン城、約35年前に訪れたけれどほとんど何も覚えていなかったストーンヘンジ、何度訪れても撮ったことがないエッフェル塔の夜景など撮影をしてみたかった場所
ノイシュバインスタイン城は外観をみようと近くの高台から撮ることを計画して行き、実際はスキー場に登るゴンドラから撮ることになった。パリではエッフェル塔が窓から見えるホテルの部屋を予約しておいた。ストーンヘンジはゆっくりと回るつもりが驚くべき人の多さで合間を待っての撮影・・・ 撮影するようになって旅のスタイルも違ってきた。
引き続き宇宙エレベーター協会でGSPECと名付けたプロジェクトを担当している。係留気球からつるしたケーブルを宇宙エレベーターの線路に見立て昇降機を使ってロボットをある高度まで輸送し、その高度からロボットを降下させるという競技会である。参加者はクライマーと呼ばれる自走式昇降機を製作するチームとロボットを製作するチームの2種類ある。この競技会をアメリカ、ネバダ州のブラックロック砂漠で開催するという目論見なのであるが、まだまだ準備中である。世界初めての試みであり簡単には進まない。元JAXAの方、大学の教授、メーカーや大学でロケットやロボットを研究されている方など多様なタレントが集まって喧々諤々と意見を交わす状況は、何らかの手段でSFの世界を実現するようなことにかかわりたいと夢見ていた自分としては半ば夢がかなっているといえるだろう。だが、ここまで来たら夢の中身の実現に一歩でも進めるよう続けて活動したい。
最後に
9月の検査時、担当医師に「最近5年生存率の統計値が・・・」と聞こうとしたら、さえぎられ「分析もしてないけど、あなたは、何故かわからないけど旨くいってるんだから、いずれにしろ関係ない」と。
さて、今年はあと2回の海外旅行の予定が入っていて、またそのうち紹介したいと思っている。
では
© 2014 Fukudoya